もう一緒にいるのはやめにしたいと
一番硬い本心が剥がれ落ちた時に
ピンク色にむき出しになった皮膚は
とてもあたたかくてあまりに柔らかくて
抱き合ったら潰れてしまいそうだった
どうして、
どうしたら、
なんて言葉は出てこない
ただそこにあるのは事実と個人
明日が来なければ
私たちはあのまま一緒にいられたのだろうか
だなんてことは考えない
私たちは生きている
生きているからお別れが言える
元気でねって言い合える
こんなに恵まれた
“さようなら”はないだろう
彼の涼しげな瞼の奥の瞳が
色素が薄いオリーブ色をしていること
朝の光に透けた時にとても綺麗だったこと
私はどれほど忘れずにいられるのだろうか